一行からの読書記録
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あまりに期待と外れた『高校数学(とっておき)勉強法』鍵本聡(ブルーバックス)

@読まぬが花, @1, 数学, ブルーバックス11 Comment »

最近、ブルーバックスの大人買いをしています^^。友人たちの強制(?)で、結局文系に進んだものの、高校三年の夏休みまでは理系だった私。当時のことなんかを思い出したりしながら理系「風」なことをいろいろ楽しんでいるところ。

で、先日はアマゾンでブルーバックスを 11 冊まとめて頼んだ。その中の1冊がこれ。

読み始めた瞬間からすごくいやな感じがした。ちまたに溢れる「数学再入門系」の凡書との違いが感じられない。任意に開いたページから引用(P128)。

  • 数式は「四角で囲む」
  • 大切な語は(中略)「二重線」
  • 求めるものは「波腺」
  • その他必要に応じて丸や普通のアンダーラインを使う

さらにこういう「テクニック」を適用する事例まで載っている。おまえは『ドラゴン桜 (1) (モーニングKC (909))』かよ、と(笑)。『ドラゴン桜』(最近人の影響で読んでみた)も後半は息切れして「ノウハウ」欄が玉石混淆というか、石ばかりかもしれないけど、この『高校数学(とっておき)勉強法』よりはなんぼかマシかもしれない。と、いうか、エール出版の合格体験記シリーズでも読んでれば良いんじゃないかと。

数学関係をわかりやすく提示する本ってのはそれなりのマーケットがあるんだと思う(書店にいくと山と積まれてる)。そういう風潮に悪のりしたとしか思えない本。新書の中でもずば抜けて悪書の少ないのがブルーバックスだと思ってるんだけど、こういうのを見せられるとがっかりする。

本書の後に出た『高校化学とっておき勉強法』はなかなか面白い本だと思う(これも今回のまとめ買いに入っていた)。それだから一層本書のくだらなさが目についてしまう。

「読まぬが花」リスト入り。

高校数学とっておき勉強法―学校では教えてくれないコツとポイント (ブルーバックス)
鍵本 聡
講談社
売り上げランキング: 67087
おすすめ度の平均: 4.0

1 ブルーバックスだからとの期待は大外れ
4 超数学愛!!
2 無駄な記述が多い
1 一番大切なこと
4 二次で減点されないために。

高校化学とっておき勉強法―「なぜそうなるのか?」がわかる本 (ブルーバックス)
大川 貴史
講談社
売り上げランキング: 115576
おすすめ度の平均: 4.5

5 本当になぜそうなるのかわかるようになりました
4 確かに分かる。しかし、難しい。

『子供は理系にせよ!』 大槻義彦

教育, @3, 科学, 学問, 大学3No Comments »

テレビで大槻教授を見ると、いつもなんか金星人に友達をもつ人とじゃれ合ってる。そんなわけで大槻教授にも大して興味を持たず、半分くらい「芸人」の意識だった。

だから本書も読むのに躊躇ったけれど、「最近の理系離れ阻止イベントなんて意味ないよ」というようなことが書かれていると知り、読んでみることに。

想定していた5倍くらい面白かったな。文理で悩む子供に読ませると、むしろ文系志望にさせるかもしれないけれど(苦笑)、当事者以外の観点で見ればとても面白かった。

子供は理系にせよ! (生活人新書 251)
大槻 義彦
日本放送出版協会
売り上げランキング: 35766
おすすめ度の平均: 3.0

3 でも内容は理系的な説明になっていない??
3 理系はほめすぎていいが、自画自賛はちょっと

『走れ! T校バスケット部』(松崎洋)

@2, スポーツ2No Comments »

なんでこんな本を読んでるのかはよくわからん。

題材はバスケで興味があるし、出てくるエピソードはありがちとは言え、面白いものもあり、ちょいと感動してしまうところもある。ついでに言うと続編まで一気に読んだ。話として面白くないわけじゃない。

だけどこれ、「小説」として受け取るのには少々抵抗があるな。いや、受け取るんだけど、じゃあ「小説として面白かったか」と言われると、「そうでもない」。ハーレクイン風ジュブナイルって言うのかなあ。そんな印象を受ける本。

走れ!T校バスケット部
走れ!T校バスケット部
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松崎 洋
彩雲出版
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おすすめ度の平均: 5.0

5 誰でも楽しめる作品

『疑似科学入門』 池内了

@2, 科学, 岩波新書, 社会学2No Comments »

「疑似科学」を題材に、筆者の観点から、その発生・流布の原因を分析する。

基本的には社会学の本になってるかな。但し疑似科学に収斂していく社会学的分析の深度は決して深いものではなく、読了後にまず感じるのは「これがなぜ岩波新書?」といったもの。私も大嫌いなシンクロニシティ「談義」へのちくりとした皮肉は気持ちよく読めるけれど、この深度での社会学談義にその皮肉は戻ってくるものかもしれない。

前半を読むうちに「まあ、結局は『論理の欠如』ということなんじゃない?」と考えた。そしてよく考えてみると、文明の表面から、目に見える形での論理は消え去り、「こうならないとおかしい」という判断も、(池内氏が本書の中で述べたように)「進歩の倫理」が消えたことによるバランスの喪失によってなし得なくなっているかもしれない。

「ゆとり教育」もあるいは、こうした「論理の消失」を迎えた時代に適合した教育方針だったかもしれない。「論理」を頼りに行動してみるけれど、結局世の中が動いているのなら、「論理」はいらないのかもしれないんだから。

「疑似科学」は、消えつつある「論理」が最後に咲かせる徒花なのかもしれないなあ。

と、こちらもまた表層的な話をしてみる(笑)。

疑似科学入門 (岩波新書 新赤版 1131)
池内 了
岩波書店
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おすすめ度の平均: 4.5

5 疑似科学を素材に「科学」を語る
4 「科学的であること」は「不確実さに耐えること」

『新生の門』 林芙美子

青空文庫, @3, 犯罪, 林芙美子3No Comments »

久しぶりに青空文庫の本。「――栃木の女囚刑務所を訪ねて」というサブタイトルに惹かれた(青空文庫図書カード)。

栃木の女子刑務所は私も見学に行ったことがある。つまり文中にある

この、栃木の女囚の刑務所は、男のひとの参観をゆるさないのだそうで、

というのは、いつか変更されたんだろう。変更のいきさつなんかを調べても面白いのかもしれない。

少年刑務所と女子刑務所ってのは、確かに普通の刑務所とはやや異質で、受ける印象も異なる。犯罪学やってる人ならぜひとも機会を見つけると良いと思う。

元刑務官が明かす女子刑務所のすべて―入所から出獄まで知られざる女囚の獄中生活とは!?
坂本 敏夫
日本文芸社
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おすすめ度の平均: 4.0

4 比較が欲しい

I, Robot ~ Oxford Bookworms Library

@3, SF, アシモフ3No Comments »

OUP Special Pack 2Oxford Bookworms Library は、想定読者を6レベルに分けて、それぞれのレベルに合致するように作品に手を入れたシリーズ。書店で「50周年記念」の Special Pack に惹かれてゲット^^。

今更 Bookworms シリーズじゃねえだろうとは思うけど、レベル4~6が4冊ずつ入ったもので、収録作品も有名なものばかりなんですよね。ちょっと試してみようかな、と。

I, Robot は、言うまでもなく、有名な「ロボット工学三原則」(Wikipedia の記事)が出てくるもの。「SF は好きだけど、アシモフはちょっとわからない」という異端(?)な私でも、むろん読んだことのある作品。

英語版 Wikipedia の記事によれば、robotics の語は、本書収録の Liar で初めて用いられたのだとか。

リメイクを意識せず、結構楽しめる本になってました。本場「風」の雰囲気も味わえるので、まあお勧めかな、と。私が大学生くらいになるまで、洋書に関しては固定為替レートっぽく、やけに高価だったんですよねえ。普通のペーパーバックが何千円もしたりした。当時は大好きな本のハードカバー版を購入するのは「一大冒険」でしたっけ…。洋行(笑)の際は、現地でバッグをひとつ新たに購入して、そこに本を詰めて帰ってきたりもしました…。まあドルそのものもまだ高かったけれど。

I, Robot (Oxford Bookworms Library)
Isaac Asimov
Oxford University Press
売り上げランキング: 8241
おすすめ度の平均: 4.0

3 読みやすい
4 子供用、アシモフなんですね
4 よくできたお話
4 かなわなかった壮大な夢

『博士と狂人~世界最高の辞書OEDの誕生秘話』

言葉, @4, 辞書4No Comments »

別に「悲劇」や「ロマン」、「秘話」なんてふうには思わないけれど、単純に面白い本だった。

中学時代に OED の存在を知って、そして COD を入手して、いつかは OED を手にするのだろうと思い続けてきた。まあ、辞書で遊び始めた最近でも、OED はまだ手にしてないんだけど^^。

それにしても辞書に関する本って面白いものが多いよね、と、書いてはみたけどタイトルを思い出せない(苦笑)。すぐに浮かんできたのは『辞書はジョイスフル (新潮文庫)』だけ。いや、これも面白かったから、これが思い出せれば良いんだけど…。

そういえば私の小学生の頃。国語辞典と漢和辞典は必ず買わされていたけど、今はどうなんだろうな。あと、我が家も高度経済成長後プチブルの例に漏れず、サイドボードに百科事典が入ってた(大笑)。「コウシ-シュ」とか「ニンチ-ホシ」なんて背表紙に書いてあったのが懐かしい。百科事典はかなりの面で、先生になってくれたな。

と、思えばそうだ。うちには百科事典がないっ! 今はもう百科事典ってのは、完全にデジタルの時代になったかなあ…。

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)
サイモン ウィンチェスター
早川書房
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おすすめ度の平均: 4.0

3 構成力を欠く文章
4 切ない。
4 「“希望”の10冊」なんてお題があったらきっと一番に推薦しちゃう一冊
5 狂気と友情
5 現代知識の礎となったプロジェクトの、あまりに劇的な裏話

辞書はジョイスフル (新潮文庫)
柳瀬 尚紀
新潮社
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おすすめ度の平均: 4.0

4 授業中、辞書をみて暇つぶししていた様な人に

『英語の語源』渡部昇一

言葉, 歴史, @2, 学問, 英語, 渡部昇一2No Comments »

「本気」で「語源」の勉強をしたい人なら、新書というスタイルの本は選ばないかな。本書は「語源」に関する本というよりも、「語源というもの」に関するもの。面白くないわけではないけれど、実践的な効果を期待している人や、「語源学」に興味のある人には役立たない本。

「語源に関すること」はどうでもよいから、「語源」そのものを知りたいのだという人は、まず手持ちの辞書の「解説」あるいは「使い方説明」の部分を熟読する方がよい。中辞典以上なら、多少なりとも語源に関することが記されているはずで、その部分の読み方は説明の部分に記されている。

また、Amazon で「英語 語源」などで検索すれば実用的な語源辞典などもヒットする。それすらできないほど急いでるとか、とりあえずちょっとした薀蓄が欲しいということなら、アルクの語源辞典などどうだろう。実は今日、その存在を知ったんだけど、お手軽の極み。たとえば「window」を引くだけでも「あっ」という気付きがある人も多いと思う。

英語の語源 (講談社現代新書 480)
渡部 昇一
講談社 (1977/06)
売り上げランキング: 221068
おすすめ度の平均: 4.0

3 もうちょっと英語の例があっても良かったかも。
4 語源探求の入り口
5 単語の秘密がよく分かる

英語語源辞典
英語語源辞典
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寺澤 芳雄
研究社 (1999/12)
売り上げランキング: 124373
おすすめ度の平均: 5.0

5 英語の語源の資料としては、最高峰
4 使えば使うほど味が出る辞典
5 英単語の歴史を遡る

『入門論理学』 野矢 茂樹

言葉, @4, 国語, 論理学4No Comments »

「論理学」と言えば、まあ数式。数式を使ってテキストを分解していくのは快感だけど、たまにちょっと面倒くさい。加えて、専門家でない場合、数式の示す結論にばかり目がいってしまって、本質的なところを見逃してるんじゃないかと恐怖したりはする。

そこで「論理学」の全体像を見ようといろいろな本を手に取ることになる人が多いと思うんだけど、「論理学本」の世界は魑魅魍魎の世界。とくにちょっと前の『ロジカル・シンキング』の大流行から、玉石混交、当然に悪書が良書を数において圧倒的に上回る状況になっているので、あまりにリスクが高い。

# ちなみに『ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)』は手下に「必読」としてすすめた好著です。

そんな状況がある中『入門! 論理学』と題された本書は限りなく危険に見える。「入門」があるだけで怪しい雰囲気なのに、さらに「」がついてる。中公新書という、それなりに信頼できるところから出ているのでなければ、まず手に取らないかもしれない。しかも現代の論理学を扱うのに縦書きだし…。

と、いろいろとリスクを感じた本書だけど、哲学から生じた論理学を、再度哲学的に把握してみようという目論見が、うまくいっている好著と評価しました。「入門!」と言っているけれど、よくある「ごまかし」による入門ではなく、基本をきっちりおさえてる。縦書きで数式をなくすという試みはどうなんだと不安になる人もいるかもしれないけれど、これも「数式」の形をとらないだけで、文章で(入門部分を)きちんと表現している。

本当は別の本が目当てで入った書店で、ふとゲットしてしまった本なんだけど、「論理学の対象ってなんなの?」とか、「論理学における論理ってなに?」と思う人の入門書として、かなり良い本みたい。「入門というのには難しすぎるんじゃないか」という評もあるみたいだけど、本書が難しいなら論理学は無理なんじゃないかな。個人的にはそれくらいきちんとターゲットを絞っている本だと思うわけです。

入門!論理学 (中公新書)
入門!論理学 (中公新書)
posted with amazlet on 08.03.09
野矢 茂樹
中央公論新社 (2006/09)
売り上げランキング: 6638
おすすめ度の平均: 4.5

5 特筆すべきは、論理記号を全く使わず完全に「縦書き」だけで著述したという点
5 日常言語から論理学が離陸する瞬間
3 入門でこのアプローチはきついと思います。

『パースの宇宙論』 伊藤邦武

@読まぬが花, 思想, @11No Comments »

そもそもパースの言説が「ロマンティック」である上、伊藤邦武氏も相当に「ロマンティック」であるように思える。

パースの思想は、論理学面での否定はできない功績に、専門であった科学的視点を融合させたところに成立している。しかし時代の制約もある中、知りえたことを自らの論理に適合させることに急であったと思える。それがパースの「ロマンティシズム」だった。

伊藤邦武氏は、その「ロマンティック」なパースの思想を、まるで prophecy を解釈するように再構築している。「ロマンティック」に「ロマンティック」を架す構成は既に研究的読解の対象になりえないものとなりつつある。

パースの思考自体には、形而上の展開から、現在の科学に「迫った」驚きを感じたけれど、本書の「ロマンティック」形而上学では「驚き」を感じることもできず、ただ「ロマンティシズム」を感じるのみになってしまう。

尚、著者の「引用」の仕方にも大いに疑問を感じる。長文を引用して次に同じ箇所から細かく引用するやり方は、決して読みやすいものではない。また、引用箇所に基づいた議論が的確になされているとも思えない。有名な「1、2、3」についても、即座にパースの論理学的研究から生じたものであることに触れ、パースの論理学的発見について議論すべきだろう。しかるに著者は、パースの議論に自分の思想を重ね、さらに「ロマンティック」なアプローチを試みている。悪意ある言い方をすれば「パースの名を借りた自己喧伝」にも見える。

果たして今、パースを研究する価値があるのかどうか、門外漢であるのでそれはわからない。個人的にはネガティブなんだけど、パースについて知りたいという希望があるなら、岩波文庫で入手できる『連続性の哲学』を読むのが良いだろう。こちらも伊藤邦武氏の翻訳によるものだが、一応「翻訳」ということになっていて、パースの理論をやや素の形で読むことができる。ただ、それでもパースのテクストに「解釈」を乗せようとする方向性は見えてしまってはいる。結局英語版ウィキペディアあたりから入ってみると良いかもしれない。

パースの宇宙論
パースの宇宙論
posted with amazlet on 08.03.01
伊藤 邦武
岩波書店 (2006/09)
売り上げランキング: 63954
おすすめ度の平均: 3.0

1 あまりに「ロマンティック」な。
5 素晴らしき思弁哲学の宇宙論